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「ダークナイトライジング」は「日本沈没」(2006)並の駄作だ!

2012⁄08⁄21(火) 00:43
「これだけの行動を起こしておきながら中枢の占拠も政治的要求もなし。そんなクーデターがあるもんですか
政治的要求が出ないのは、そんなものが元々存在しないからだ。情報を中断し混乱させる。それが手段ではなく、目的だったんですよ。これはクーデターを偽装したテロに過ぎない。それもある種の思想を実現するための確信犯の犯行だ。戦争状況を作り出すこと。いや、首都を舞台に戦争という時間を演出すること。犯人の狙いはこの一点にある。」

NIFTYフォーラムの押井守会議室が現存していたら、もっと濃い議論が交わされただろうな。

2012年8月15日の記事http://ultrawoman.blog14.fc2.com/blog-entry-559.html は、少なからぬ波紋を呼び起こしたようで、このブログでもずいぶんとコメントを頂戴したし、ツィッターもいろいろな反響があったし、2chでもちょっとしたスレッドができてた。

パクリなんかしてないという反論みたいなコメントやツィッターがいろいろあったけど、残念ながら、それらは反論としての体をなしていない。
今回、反論はこれを越えてないとダメという明確なレベルを設定していたのだけど、見事に全部この水準をクリアしてない。
そんな難しい話じゃない、

  「なぜベインは、核融合炉を積んだトレーラーを3台用意して、ゴッサムシティの街中を巡回させていたのか?」

 これに映画的な明確な説明、例えば、「ナイトフォール」とか「二都物語」からの引用ですと答えてくれればよかった。
 (もちろん無理だ。「ナイトフォール」にも「二都物語」にもこんな設定ないから)

 反論(のような)コメントはそこは華麗にスルーしてた。
 この設定が「パトレイバー」以外の、どこから来たかをきちんと説明できたコメントやつぶやきにお目に掛かったことはない。

 そこにこそ、「ダークナイトライジング」という映画の問題がある。
 物語の中核をなす設定なのに、「ダークナイトライジング」の内部には、
・核融合炉をトレーラに積む理由も、
・トレーラーを巡回させる理由も、
・なぜ3台なのか
の必然性も蓋然性も描かれない。
 映画を見た人は「何かおかしい」と思わなかったんだろうか?
 5月間ずっとトレーラを巡回させるの?
 おかしいと思うでしょ、普通は。

 道路に大穴があいていたら、歩行者もドライバーも否応なしに(穴に落ちる前か、落ちた後かという違いはあるにしても)気づくのに、映画の場合、大穴があいているの気づかない。あるいは、気づかないふりをする。

 なんのためにパクリを指摘するのか?
 それは「映画を理解するため」だ。
「ダークナイトライジング」の映画としてのストリーの矛盾や不自然なところが気にならないのだろうか?
 「なぜこんな変な展開になってるんだろう」と思わない? 謎を解きたくない?
 普通は謎を解きたいよね?
 映画を見終わった後でも、釈然としないでずっと頭の片隅に引っかかったままにならない?

 三台のトレーラーを巡回させるのは、「パトレイバー2 The Movie」で、三隻の飛行船に毒ガスを搭載して、東京上空を巡回させる設定そのまま。
 「パトレイバー2 The Movie」ではこの飛行船には妨害電波の発生器が搭載されていて、電磁波による通信やマスコミュニケーションを妨害するという役割もあって、東京都内の情報を遮断するという敵の目的のためも使われていた。
 ところが、「ダークナイトライジング」は、トレーラにこうした必然性を与える役割がないので、物語から設定だけが不自然に浮いている。

 こうなってしまったのはおそらく、押井守の映画の作り方が普通と異なるからだ。
 押井守の場合、監督が語るべき思想とか世界観があって、それを語るために最適なストーリーとキャラクターを逆算して作り出す。

  世界観(思想、監督の言いたいこと) → 世界を語るためのストーリー → ストーリーを語るためのキャラクタ

の順に構築される。
 なので、世界観にあわなければファンに人気のあるメインキャラクターでさえ容赦なく切り捨てる(「パトレイバー2 The Movie」の野明の扱いを見れば判る)
 押井守以外がこの方法を真似て映画を作ると無残に失敗する。「WXIII 機動警察パトレイバー」とか。

 ところが、「ダークナイトライジング」は「バットマン」というキャラクター先行の映画なので、映画の作りが真逆。

  まずキャラクターがある → そのキャラクターを活躍させるストーリー → 主人公の存在が正当化される世界(主人公が正義とされる世界)

 の順に作られるので、そこに押井守の作品設定を持ち込めば矛盾を来すのは当たり前。
 押井監督の思想や世界観を表現するための設定やストーリーなのに、それを違うものを表現するために使おうとすれば、つぎはぎでつながらなくなる。

 ノーラン監督は「メメント」とか「インセプション」のように技術的なスキルによって成立する映画は上手いんだけど、それ以外の部分で何かを語ろうとするとぐずぐずになる。この点、日本の樋口監督と似ている。

 どっちも映画を通じて語る思想を持っていない。

 だから、ドラマ部分は役者にお任せ。
 力量のある役者さんが良い演技をすると良い映画ができるが、役者の演技が平凡だとドラマ部分はものすごくつまらない映画になる。
  役者の演技をコントロールして、意図通りのドラマを作ることが出来ない。
  目指すべき目標=監督が役者を通じて語る思想がないから。

 というわけで、
 「クリストファー・ノーラン = 樋口真嗣 」説 を唱えたい。
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Comment

類似点の指摘などは良いと思いますがそれをネタにして作品自体を攻撃するのは
ちょっと行き過ぎなのでは・・・と思います
それでも好きなファンは大勢居ますからね・・・
私はCANDYさんのウルトラウーマン、ダイナガールシリーズは昔から好きでしたし
コメントは書いたことはありませんでしたがチョクチョク覗かせて頂いてました
こういった形でこのブログが有名になってしまったのは少し残念に思います・・・
2012⁄08⁄29(水) 07:41 | | [edit]

Re: タイトルなし

作品自体にストーリーや設定の破綻があるのは映画評論家の町山さんが指摘するとおりですし、アメリカ本国でも酷評されています。
だめな作品でも好きな人がいるという事と、作品自体の出来や評価は別ですから。

映画批評で有名になっちゃったのはブログの趣旨とちょっと違うけど、しばらくしたらまたヒロピン画像に戻ります。
2012⁄08⁄30(木) 07:46 |

パクリだから納得、という論理展開にちょっと納得できません。

盗作ってうしろめたい行為ですから、こっそりわかりにくいようにやるものですよね。
なのに一目瞭然のわかりやすさらしい(ダークナイトライジング未見、パト2は何度も見てます)みたいで、しかも破綻してるそうで、なんだか釈然としません。
むしろ盗作だからこそパクッたシーンを完璧な整合性で自作に取り込んで、あたかもオリジナルですよ。という風に振舞うのが盗作者としては当然の戦略だろうと思います。
わかりやすくバレバレならバレバレで、普通そういう場合、オマージュです。とかって予め言い訳を用意しておくものだと思うのですが、そんな様子もないようで。
ノーラン監督がパト2を大好きで、ストーリー破綻してでもこのシーン絶対入れたいってことだったら、よけいリスペクト表明するはずですよね。

ので、パクリだからストーリー破綻してても納得できる。という考えかたはちょっと短絡的なのではないかと思うのです。

もっともノーラン監督はストーリーの破綻にも気付かずこの程度の予防線も張れないおバカさんだというのなら別ですが、その場合は根拠なんなのって思いますし。

たぶんパクッたのだろうけれど、お話が破綻している理由は別にある可能性もあるわけで、それがなんなのかはわかりませんが。
私は納得できませんでした。
2012⁄08⁄31(金) 04:57 | | [edit]

Re: パクリだから納得、という論理展開にちょっと納得できません。

> ノーラン監督がパト2を大好きで、ストーリー破綻してでもこのシーン絶対入れたいってことだったら、よけいリスペクト表明するはずですよね。

とにかく次の作品を作らないといけないし、公開期限は迫ってくるしで、安易に既製作品から真似してでっち上げたからだと思いますよ。
細部までよく考えて作り込んでないから、ストーりーも破綻していると。

> 私は納得できませんでした。

 世の中には
 真似がとても上手いひと(庵野秀明)と下手な人(樋口真嗣)がいるということでは?
2012⁄09⁄01(土) 09:29 |

「ライオンキング」を観ても分かるとおり、彼らはパクっても、そんなの知らないよと言い通します。
それは、裁判になった時の賠償金が凄いからです。
オーシャンスキー兄弟も
「攻殻機動隊には影響受けたけど、真似してない!絶対真似してない!」
って言い張っています。
これ対して押井守監督が
「真似したっていんだよ!気にするな!」
と、なだめるほど。
まあ、今作バットマンですから、バットマンからの引用はいいとして、それ以外には「二都物語」とフリッツ・ラングの影響を受けていると言っていますね。
後からの話だと、実はノーラン監督は「二都物語」は読んで無かったことがバレたりしてますが。
著作権に引っかからない古典を参考にしたというのは、後々著作権で揉めないためためだと思います。
「ブラックスワン」と「パーフェクトブルー」の類似点を指摘されてアロノフスキー監督が慌てて今敏監督の映画の版権を買ったり、亡くなった時には哀悼の辞を送ったり、キャメロン監督がターミネーター2のT2000のために「寄生獣」の映画化権を買ったりしてるのを見ると、向こうはかなり著作権に関してはピリピリしてます。
まあ、日本の場合、アレは○○へのオマージュあるいはインスパイアされた結果と言えば、大抵それで済んじゃいますけどね。
2012⁄09⁄08(土) 10:12 |

7月の時点で「こりゃパト2だよね」って書いてるブログを見たので、多分そう見える人は少なくもないのでは
その人は「どう考えてもノーランは押井守に詳しい」って断言してた
2012⁄09⁄08(土) 14:16 |

Re: タイトルなし

> 7月の時点で「こりゃパト2だよね」って書いてるブログを見たので、多分そう見える人は少なくもないのでは
> その人は「どう考えてもノーランは押井守に詳しい」って断言してた

 インセプションも、「パプリカ」そっくりな場面あるしねえ
2012⁄09⁄13(木) 21:05 |

Re: タイトルなし

ディケンズの「二都物語」は、顔がうり二つの主人公達が二人出てくるんだけどな。
読んでいる人から見れば、ノーランの苦しい言い訳は一目瞭然なんですけどね。
2012⁄09⁄13(木) 21:07 |

攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIGからもプロットを持って来ていると指摘している外国の方も見えますね。
確かに核兵器を抱えて立てこもるところとか。

http://outlawvern.com/2012/07/20/the-dark-knight-rises/

※DNAさんのコメント参照
2012⁄09⁄14(金) 16:11 |

Re: タイトルなし

> 攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIGからもプロットを持って来ていると指摘している外国の方も見えますね。
> 確かに核兵器を抱えて立てこもるところとか。
>
> http://outlawvern.com/2012/07/20/the-dark-knight-rises/
>
> ※DNAさんのコメント参照

情報ありがとうございます。
やっぱり知っている人間が見れば判るのは、海外でも同じですね。
2012⁄09⁄18(火) 22:27 |

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